ハラスメント対策が息苦しさを生む?!|本当の意味でのハラスメント対策とは

 

ハラスメント対策として、

ハラスメントの種類と中身を覚えようとする方が増えてきました。

 

この方法で集団の雰囲気がよくなるのなら、

もうすでに多くの人がそれを実感していてもいいはずです。

 

しかし、現行のハラスメント対策が浸透するほど

・コミュニケーションが希薄になり

・何をどう言っていいのかわからなくなり

・結果として、集団の雰囲気が悪くなった

 

こう感じている人も少なくないように感じています。

 

そもそもハラスメントって何?

もともとハラスメントとは、

「困らせる」とか「嫌がらせ」のことを指す言葉として使われていました。

 

それが、最近では

不快になる行為全般をハラスメントと呼んでいるようです。

 

しかし、人はそれぞれで不快になることが異なります。

 

そのため、ハラスメントの種類はどんどん増えているし、

これからも増えていくと思われます。

 

増え続けるハラスメントの種類を覚えて役に立つとすれば、

  • 相手を懲らしめるとき
  • 相手を訴えるとき

つまり、罰を与えることを前提にしたときです。

 

どんなことを不快に感じるの?

何事も、やり過ぎてしまったり、やらな過ぎてしまったりすると、

相手が見えない一方的な状態になってしまいます。

 

一方的な状態になれば、そこに配慮や思いやりを感じることはありません。

 

私たちは、安全欲求、所属欲求、承認欲求といった欲求を持っています。

それが、満たされない(配慮や思いやりがない)と感じることは、

全て「不快」になる可能性があります。

 

現行のハラスメント対策はズレている?

ハラスメントを判定する専門家になるのなら、

ハラスメントの種類と中身を知っている必要があります。

 

しかし、本当の意味でのハラスメント対策をするのであれば、

ハラスメントを深く知っているだけでは足りません。

 

なぜなら、ハラスメントの種類と中身を知っても

ハラスメントという脅威に敏感になるだけだからです。

 

理性か本能か

現行のハラスメント対策は、

・自分の行動や言動がハラスメントになるかもしれない

・自分の不快に感じていることがハラスメントによるものかもしれない

これらを知って覚えることに重点を置かれています。

 

これは、問題となる行動や言動を抑制することを目的としているからです。

 

しかし、これが、

・ハラスメントに対する敏感さを作りだしてしまいます。

・さらに、ハラスメントを警戒する緊張状態を作り出します。

・緊張状態でいることで、ハラスメントへの敏感さが強まります。

 

ちなみに人は、何かを警戒している状態にいるとき、

理性よりも本能に近い反応的な行動をとってしまうことがあります。

反応的な行動は大きく分類すると3つに分かれます。

・闘う (fight) イライラする、口調が強くなる、他責的になる

・逃げる(flight) その場を離れる、言い訳をする(自己保身)

・固まる(freeze) 無反応、自責的になる

 

ハラスメント対策をしているのに、このような状態になる人がいるとしたら、

本当の意味でのハラスメント対策に切り替える一歩を踏み出す準備を始めましょう。

 


本当の意味でのハラスメント対策

本当の意味でのハラスメント対策とは、

・バランスのとれた関係性を築くことで、

・ハラスメントに対して気を配らなくてすむ状態をつくる。

つまり、

安全欲求、所属欲求、承認欲求を満たし合える環境をつくるということです。

 

  • ハラスメントをなくす
  • ハラスメントで傷つく人を減らす

こういったことは、副次的に起こることであって主目的ではありません。

 

心には2つの「ダム」がある

ハラスメントは相手が見えない一方的な状態のときに起ります。

では、どんなときに相手が見えなくなってしまうのでしょうか。

 

人の心には、2つの「ダム」があります。

『蓄えるダム』『与えるダム』です。

 

蓄えるダムの役割

蓄えるダムの役目は、「蓄えること」。

誰かにもらった「心」を蓄えておくことです。

「褒められた」「感謝された」「気にかけてもらった」などが蓄えられていきます。

 

蓄えるダムの本当の役割

蓄えるダムは、「与えるダム」をサポートするダムです。

 

与えるダムの役割

与えるダムの役目は、「与えること」。

「思いやり」や「気遣い」といった「心」を届けることです。

 

「思いやり」や「気遣い」といった「心」が、無限に湧いてくるわけではありません。

 

補給もせずに与えることが多くなれば、「与えるダム」は機能不全に陥ってしまいます。

これが、「誰かを思いやっている余裕なんて無い」という状態を生み出してしまいます。

 

このような状態にならないように、「蓄えるダム」がサポートをしているのです。

バランスのとれたこころのダム

十分なサポートが得られるので、自然と誰かへの思いやりや気遣いができる。自分への気遣いや思いやりは、自分を認める褒めることになるため、それも与えるダムのエネルギーになる。

バランスの崩れたこころのダム

サポートがない中で与え続けるために、自分勝手な振る舞いによって得られる自己満足が与えるダムのエネルギーになる。

 

「あたりまえ」と「有り難い」は対極にある

ハラスメントの芽は、

「蓄えることよりも誰かに与えることの方が多くなったとき」に膨らみます。

 

その状態をつくりだすのは、

みんなの「あたりまえ、当然」という意識です。

 

「頑張ったとしても、それはあたりまえのこと」

「どんなに大変だとしても、それをやるのは当然のこと」

 

こういった意識が広がり出すと、

「与えているのに、与えてもらえない(蓄えられない)」という人が出てきます。

 

これが、

ハラスメントを学ぶ「管理職やリーダー、誰かをサポートする立場の人」に多いのです。

 

いつもより「ありがとう」を少しだけ多くする

私たちには「返報性の意識」があります。

 

「あたりまえ、当然」と思うことが増えると、「ありがとう」が減っていきます。

 

あたりまえでは無いんだという気持ち、

「ありがとう」の気持ちは相手の蓄えるダムに溜まっていきます。

そして、それが次の「ありがとう」を生み出します。

 

「見て見ないふり」や「気づかないふり」も、ハラスメントの芽になります。

 完璧じゃなくていい。今日も小さな一歩から。

 

まずは、できることから1つずつ。

そんな一歩を踏み出すヒントになればうれしいです。

ご訪問ありがとうございました。

 

 

 

星野伸明
この記事を書いた人
星野 伸明(ほしのぶ)
明日に寄り添うカウンセラー
/ 行動科学・健康科学講師

一般社団法人マスタリーカウンセリング協会 代表理事。NPO法人クリオネの家 事務局長。
行動科学・健康科学・脳科学に基づき、原因追及ではなく仕組みで心と行動を整える『マスタリーメソッド』を体系化。
個人カウンセリングや企業・官公庁・教育機関での研修を行うほか、カウンセラー育成や各種学びのプログラムの提供にも注力している。

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